シカゴ大学 研究プロジェクト: IRB24-1649
より良い環境づくりのために、調査へのご協力をお願いしています
労働環境 / ネットワーク効果 / セクシュアル・ハラスメントに関する学術調査
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1. この調査について – 背景と重要性
日本のスタートアップ環境が発展する中で、現場の実態や関係者が日々直面する課題を深く理解する必要性が高まっています。
2024年に実施したスタートアップ環境でのセクシュアル・ハラスメント予備調査結果は、皆様のご協力のおかげでNHKをはじめ主要メディア報道、政府・自治体での議論、国際学術誌への論文掲載など、多方面に問題提起ができました。改めて感謝申し上げます。
この予備調査での知見を踏まえ、より広くスタートアップ環境の発展と健全性を捉えることを本調査の目的としています。
🔍 調査で明らかになること
- 基本的な属性:どのような人たちがどのようにスタートアップ・エコシステムに関わっているのか?
- 好ましい労働環境: 起業活動やキャリア選択において、どのような環境が好まれるのか?
- 成長促進の要因: 関係者はどのようにつながり、どんなネットワークを重視しているのか?
- 成長阻害の要因: どのようなハラスメントが起こり、どのような影響があるのか?
🎙️ なぜ「あなたの声」が必要なのか?
多様な方々から寄せられる現場の経験や視点こそが、スタートアップ・エコシステムの真の姿を映し出します。あなたの率直なご意見が、課題解決とより良い未来への羅針盤となります。
なお、調査にご協力いただいた方には、結果レポートの提供に加え、調査結果を解説するオンライン・セッションへのご案内も予定しております。
2. 調査概要 – 安心してご回答いただくために
項目 | 詳細 |
---|---|
対象となる方 | スタートアップ環境に関わるあらゆる関係者:起業家(準備中、社内起業家も含む)、スタートアップ企業の役員や従業員、資金提供や金融機関に関わる方々(個人投資家、VC/CVC、銀行や証券会社)、事業成長をサポートする方々(メンター、有資格専門家、アクセラレーターなど)、その他エコシステム構成に欠かせない重要な関係者(自治体、教育研究機関、企業、メディア) |
協力するメリット | みなさまの声は、国内スタートアップ環境をより良くするための貴重なデータとなります。調査結果は個人が特定されない形でレポートとして公開するほか、ご協力いただいた方への感謝と情報共有の機会として、調査結果を解説するオンライン・セッション(質疑応答あり)を開催予定です。(詳細はQ&AのQ7をご参照ください。 |
所要時間 |
最低限の回答をされた方:平均3-5分 |
回答形式 | オンライン・アンケート(PC・スマートフォン・タブレット対応)。プラットフォームは、多くの学術研究で利用されているQualtricsを利用します。 |
匿名性とデータ保護 | 完全匿名です。氏名、メールアドレス、IPアドレス等、個人特定につながる情報は一切収集・記録しません。シカゴ大学の研究倫理指針(倫理委員会承認番号:IRB24-1649)に基づき、回答は統計的に処理されます。 |
倫理的配慮 | 全ての質問への回答は任意です。回答したくない質問は自由にスキップしてください。セクシュアル・ハラスメント等、センシティブな内容も含まれます。ご自身の心身の安全を最優先してください。 |
3. よくあるご質問 (Q&A)
Q1: 調査の目的や質問項目を教えて下さい
この調査は、日本のスタートアップ・エコシステム(起業家、投資家、従業員、支援者など様々な関係者を含む環境全体)の現状と課題を理解することを目的とした学術調査です。主な質問内容は以下の通りです。
- ご自身の基本的な属性(匿名性を担保する範囲で、性別や年代など)
- 仮想的なシナリオにもとづく労働環境シミュレーション
- 促進要因としてのネットワーク効果
- 阻害要因としてのセクシュアル・ハラスメント
詳細は、調査にご協力いただく中でご確認いただけます。
Q2: 調査は重要性や、協力する意義は何ですか?
あなたの声が、日本のスタートアップ環境をより良くするための貴重な情報になります。現場のリアルな状況や課題を明らかにすることで、今後の支援策や環境整備に向けた具体的な議論の土台となります。特に、普段なかなか表に出にくいネットワークの側面や、労働環境について探ることで、エコシステム全体の健全な発展に貢献することを目指しています。
Q3:調査対象者は誰ですか?なぜ起業家だけではなく幅広い関係者を含むのですか?
日本のスタートアップ環境に関わるすべての方を対象としています。具体的には、以下のような立場の方々を想定しています。
- スタートアップの中核を担う方々:
- 起業家(準備中の方、社内起業家も含む)
- スタートアップ企業の役員や従業員
- 資金提供および金融サービス関係者:
- 個人投資家やVC / CVC、各組織の従業員
- 金融機関(銀行、証券会社など)の関係者
- 事業成長をサポートする方々:
- メンターやアドバイザー、有資格専門家(弁護士、税理士、司法書士など)
- アクセラレーターやインキュベーターの運営者・関係者
- エコシステムを構成するその他の重要な関係者:
- 自治体や政府、大学や研究機関の研究者・関係者
- スタートアップと連携する企業や報道機関・メディア関係者
(なぜ関係者を広く含むのか?)
スタートアップ・エコシステムは多様な立場の方々の相互作用で成り立っています。もし特定のグループ(例:起業家だけ)に調査を限定すると、その意見がエコシステム全体の中でどういう位置づけか(共通の課題か、特有の課題か)を把握しにくくなります。幅広い関係者にご協力いただくことで、関係性の理解、エコシステム全体の健全性、比較による課題の明確化などを目指しており、個別の経験談だけでは見えにくい全体の傾向や本質的な課題を深く理解できると考えています。
Q4: なぜ1,000名が目標なのですか?
2024年に実施した前回の調査では197名の方々にご協力いただきました。その際の経験を踏まえ、2025年の本調査では対象トピックや範囲を拡大し、より多角的で深い知見を皆さまに共有することを意図して1,000名を目標にしています。
調査の理想的な進め方として、日本のスタートアップに関わる全ての方の中から無作為に選んでご協力をお願いする方法がありますが、関係者全体のリストが存在しないため、現実的には難しい状況です。そのため、本調査ではオンラインでの告知やご紹介などを通じて、ご協力いただける方を募る形式をとっています。より具体的には、1,000名を目標としている主な理由は以下の3つになります。
- 多様な視点の確保: スタートアップ・エコシステムには、起業家、スタートアップ従業員、投資家、メンター、各種専門家など、非常に多様な役割や経験を持つ方々が関わっています。より多くの方にご協力いただくことで、特定の層に偏らない、エコシステム全体の多様な実態をより正確に捉えることを目指しています。これにより、議論の偏りを減らし、より全体像に近い理解を得たいと考えています。
- 分析結果の信頼性向上: 回答者数が少ない場合、一部の特異な意見や偶然の偏りが、分析結果全体に大きな影響を与えてしまう可能性があります。その結果、見出された傾向が全体の中でどのような位置づければいいのか、判断が難しくなることがあります。1,000人規模の回答があれば、偶然の影響を受けにくくなり、見出された傾向やグループ間の違いについて、より信頼性の高い結論を得ることが可能になります。
- より深い分析の実現: 本調査では、エコシステムの現状把握に加え、例えば「どのような要因が意思決定に影響するか」といった、より踏み込んだ分析も試みます。こうした多角的な分析を行い、意味のある知見を得るためには、一定規模のデータが必要となります。 もちろん、たとえ1,000人以上の回答が集まっても、その結果が統計的に日本のスタートアップ関係者全体の状況を完全に反映するとは限りません。 それでも、1,000人という目標は、皆様の貴重なご意見を可能な限り集約し、過去の調査よりも深く、確かな知見を得て、皆様に有益な形で還元するための重要なステップであると考えています。皆様のご協力が、より良い環境づくりに向けた議論を促進する上で不可欠です。
Q5: 回答にかかる時間はどのくらいですか?
ご回答いただく内容によって異なりますが、公開前のテスト結果では最低限の回答をされた方は平均3-5分、回答者全体で平均8-13分ほどとなっています。 可能な範囲で多くの項目にご回答いただけますと、分析の精度が高まり充実したレポートをお渡しできます。
Q6: 回答は匿名ですか?個人情報の取り扱いについて教えて下さい
はい、完全に匿名で実施します。参加にあたって、氏名やメールアドレスなどの個人を特定できる情報は不要です。回答データは統計的に処理され、個人が特定される形で公表されることは決してありません。シカゴ大学の研究倫理指針(倫理委員会承認番号:IRB24-1649)に基づき、データの管理・保護には万全を期しております。
Q7: 協力すると何かメリットを得られますか?
直接的な謝礼はありませんが、皆様の声を集約し分析することで日本のスタートアップ環境の改善に繋がる知見を生み出すことを目指しています。調査結果は、個人が特定されないサマリー・レポート等で公開・共有させていただきます。ご協力いただくこと自体が、エコシステム発展への貢献となります。
さらに、ご協力いただいた皆様への感謝の印、および調査結果をより深くご理解いただく機会として、レポート公開に合わせてオンライン・セッション(質疑応答あり)の開催を予定しております。
レポートの送付およびオンライン・セッションのご案内をご希望の方は、調査回答後に表示される別フォームへEmailをご入力ください。レポート希望/セミナー案内用のフォームは本調査と完全に切り分けて設定されています。本調査へのご回答内容とEmailが紐づくことは一切ありませんのでご安心ください。
Q8: センシティブな質問への対応はどうなっていますか?
本調査では、起業環境や労働環境に関してお伺いする中で、セクシュアル・ハラスメントに関する質問も含まれます。これらの質問は、エコシステムの健全性を考える上で重要なテーマですが、回答が精神的なご負担になる可能性もあります。回答を避けたい質問、不快に感じる質問は、自由にスキップしていただいて全く問題ありません。ご自身の心身の安全を最優先にしてご参加ください。以下は関連する相談窓口です。
Q9: この調査は誰が実施しているのですか?
この調査は、シカゴ大学の正式な研究プロジェクトとして実施されます(倫理委員会承認番号:IRB24-1649)。プロジェクト詳細はこちらをご覧ください。
【研究・統計に関心のある方へ】
Q10: 統計や研究視点での調査の意義は何ですか?
本調査は、記述的な実態把握に加え、一部で実験計画法を用いた設問(選択実験など)を含んでいます。これにより、特定の要因(例:提示される情報の種類)が関係者の判断や評価に与える影響の因果的メカニズムを探求します。ノン・ランダム・サンプリングという制約を前提に、特定の未解明な領域における仮説生成・理論構築に繋がる知見を得ることを目指しています。皆様のご協力が、この分野における学術的な知見の深化と、実務への示唆に繋がります。
Q11: 調査に実験的要素(シナリオ質問)を含む意図は何ですか?
本調査の一部には、仮想的なシナリオを提示し、回答者の判断や選択を問う実験的な設問が含まれています。この意図は以下の通りです。
- 因果関係・メカニズムの探求: 単純な相関関係ではなく、特定の要因が関係者の評価や意思決定にどのように影響を与えるか、その背景にあるメカニズムを探ること。実験計画を用いることで、他の要因の影響を統制し、特定の変数間の関係性をよりクリアに検証することを目指します。
- 理論の検証と精緻化: 関連領域で提唱されている意思決定に関する理論が、スタートアップ・エコシステムという文脈でどのように現れるかを検証します。これにより、既存理論の適用範囲を確認したり、新たな文脈特有のパターンを発見したりすることで、理論の精緻化に貢献することを目指します。
これらの実験要素は、記述的な調査だけでは得られない、より深い洞察を得るために設計されています。
Q12: なぜノンランダム・サンプリングを行うのですか?その限界は?
理想的には、調査対象となる母集団(この場合は日本のスタートアップ環境に関わる全ての方々)から無作為に回答者を選ぶ確率抽出(ランダム・サンプリング)が、統計的な一般化のためには最も望ましい手法です。
しかし、日本のスタートアップ・エコシステム関係者全体を網羅した公開データベース等、カバレッジ誤差(Coverage error)が十分に小さいと判断できる適切な標本フレーム(Sampling Frame)が見当たらず、確率抽出の実施は現実的に極めて困難と考えています。 例えば、以下のような方々を網羅的に把握し、無作為に抽出することが難しくなっています。
- 起業準備中の方や設立直後のスタートアップ: 起業支援プログラムに参加したり、関係者と交流したりしながらアイデアを具体化している段階で、まだ法人登記をしていない起業家を網羅すること。もしくは、登記はされているが事業活動が行われておらず、実質的にスタートアップ企業と定義しにくい法人を体系的に除外すること。
- 多様な関係者: 例えば、起業経験があり知見が豊富な個人投資家やメンターはエコシステムに欠かせない重要な構成員です。しかし、全体数が公式に登録されたリストがあるわけではないため、その分布やグループ等を把握することは困難です。
利用可能な公的データ(例:登記情報など)だけでは、エコシステムの実態を形作る多くの関係者の実態を捉えきれないのが現状と認識しています。 そのため、オンラインでの告知や協力者からの紹介などを通じて参加者を募る便宜的サンプリング(ノンランダム・サンプリング) を採用しています。
この手法には、以下のような限界があります。
- 選択バイアス: 調査に協力的な方、特定の情報チャネル(例:告知を見たSNSやコミュニティ)にアクセスしやすい方など、特定の属性を持つ層に回答者が偏る可能性
- 一般化可能性の制約: 上記のバイアスのため、この調査で得られた結果が、統計的に日本のスタートアップ・エコシステム全体の状況を反映しているとは限らない点。結果の一般化には慎重さが必要
しかしながら、Q8やQ9で述べたよう、本調査はエコシステム全体の精密な記述のみを目的としているわけではありません。アクセス可能な範囲での実態を探る探索的研究や、実験要素を用いたメカニズムの解明、理論的な考察といった目的においては、今回のサンプリング方法でも重要な知見を得ることが可能です。
Q13: ノンランダム・サンプリングではサンプルサイズと外的妥当性は単純な比例関係にないと思いますが、なぜ目標回答者数を1,000人としているのですか?
ご指摘の通り、本調査では便宜的サンプリング(ノンランダム・サンプリング)を採用するため、サンプルサイズ(n)の増加が直接的に外的妥当性の向上や母集団パラメータ推定の精度向上に繋がるわけではありません。選択バイアスのリスクはnの大小に関わらず存在し、結果の一般化可能性には常に制約が伴います。 その上で、1,000名という目標を設定する主な理由は以下の通りです。これらは主に、得られるデータの内的妥当性や分析の解像度、頑健性(robustness)に関わるものです。
- 分析結果の安定性(Stability)向上: サンプルサイズが小さい場合、少数の特異な回答や偶然の偏りが分析結果(記述統計量、パラメータ推定値など)に与える影響が相対的に大きくなります。n=1,000規模を目指すことで、こうしたランダムな変動の影響を相対的に低減し、分析結果の安定性を高めることを期待しています。これは、探索的な分析で見出された傾向が単なる偶然(spurious correlation等)である可能性を低減させる上でも重要です。
- サブグループ分析(Subgroup Analysis)の深化と妥当性向上: 日本のスタートアップ・エコシステムは極めて多様な属性を持つ構成員から成り立ちます。1,000名規模のサンプル獲得により、2024年に実施した調査を含む200-300名規模では困難であった、より詳細な属性に基づいたサブグループ分析も可能になります。各サブグループにおけるサンプルサイズを一定数確保することで、グループ間の比較分析の信頼性を高め、より詳細なエコシステムの実態理解に繋げます。
- 統計的検出力(Statistical Power)の確保: 特に実験計画法を用いた設問(Q9参照)において、要因の効果量(effect size)が小さい場合や、交互作用など複雑な関係性を検証する場合、nが小さいと第二種過誤(Type II error)のリスクが高まります。n=1,000規模を目指すことで、検出力(1-β)をある程度確保し、本来存在するかもしれない重要な差や関連性を見逃すリスクを低減したいと考えています。これにより、理論構築や仮説検証において、より確かな示唆を得ることを目指します。
- モデル推定の安定性: 比較的複雑な統計モデルを用いる場合、サンプルサイズがある程度大きい方がパラメータ推定が安定する傾向があります。 もちろん、これらのメリットはノンランダム・サンプリングという制約下でのものです。1,000名の回答が得られたとしても、それが母集団を代表する無作為標本ではない点は常に念頭に置く必要があります。この目標は、あくまで限定されたサンプリング手法の中で、可能な限りデータの質と分析の深度・信頼性を高めるための努力目標と位置づけています。
4. 調査結果の活用予定 – エコシステムの未来のために
皆様からの回答は個人が特定されない形で分析し、日本のスタートアップ環境がより健全で力強く成長するために活用されます。
- 📈 レポート公開: エコシステムの実態と課題に関するレポートを作成・公開
- 📚 学術貢献: 学会発表や論文投稿を通じた知見の共有
- 🏛️ 政策提言: 調査データに基づいた政策・支援策への提言
5. 調査の拡散にご協力ください: シェア用テンプレート
もしよろしければ、この調査についてご関心を持ちそうな方へ、SNSやメール等でご紹介いただけますと大変幸いです。以下のテンプレートをご自由にアレンジしてご活用ください。
調査に関してご不明な点がございましたら、下記までお気軽にお問い合わせください。
- シカゴ大学 社会科学部 柏野尊徳
- Email: kashino@uchicago.edu
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